激細ボールペン戦争勃発!?


 最近、他の仕事が忙しかったのと体調が少し悪かったのとで、ホームページの更新をサボっていました。色々な方から、「最近どうなってるの?」とご指摘いただき反省しております。今後も頑張りますので宜しくお願いします。でも多分定期的に!?サボるかもしれないのでお手柔らかにお願いします。

 さて、本題ですが、最近の激細ボールペンについてです。普通の油性ボールペンでは直径0.7ミリ程度のボールが使用されています。最近人気のゲルインキボールペン等は0.5ミリが普通です。細い字が書けるいわゆる「激細ボールペン」と言えば、パイロット社から出ているハイテックCの0.3ミリが有名です。発売当時、世界一の超極小ボールを搭載して、書き味も滑らか!と言うことで爆発的に売れ、今も人気が衰えない大ヒット商品です。その後、三菱鉛筆社からもパイロットの0.3ミリを超える0.28ミリのユニボールシグノ超極細が登場し、ハイテックCと共に激細ボールペン市場はこれらの製品がほぼ人気を独占し、激細ボールペンの世界一争いはここしばらく落ち着いていました。

ところが、今年になってパイロット社が長年の沈黙を破り、再び世界最小となる0.25ミリボールを搭載したハイテックCを発売!スミ利としては、「これ以上細いボールペンなんか本当に要るの?」「お客さんはそんな細いボールペン欲しがるのかなー?」と少々冷ややかな反応でしたが、店に置いてみると、大ヒット!とはいかないまでも、まずまずの人気!数ヵ月後には既に定番商品になりつつありました。そこで、思ったのが三菱鉛筆さんのこと。きっと黙ってないだろうなー。「パイロットが0.25ミリならうちは0.2ミリで!」ってな感じで激細ボールペン世界一の覇権を狙ってくるだろうなー、と思っていました。小刻みな新製品の競争はやめてもらいたいもんだ!うちも在庫が大変なんだから(怒)。

そんなことを言っていたら、10月頃、三菱の営業の方が来て、「来年の話ですが、年明け早々に、0.18ミリの凄い細いボールペンが出ます!勿論、パイロットさんのハイテックC0.25を抑えて世界一になります・・・」 やっぱり!あぁ、とうとうやってしまうのね。何でも極秘で開発が進められていたらしく(他の商品もそうだと思うけど)、来年早々の発売にも関わらず秋の展示会ですら紹介していなかった隠し弾らしい。いずれにしても文具業界にとって来年の大型商品になることは間違いないと思います。一気に0.18ミリまで来るとは!業界屈指の技術力を誇るパイロット社もそう簡単には追い越せないのではないでしょうか。

一口に激細ボールペンと言っても、各社物凄い技術を投入して開発しているのです。恐らく製造コストも通常のものよりかなり掛かるはずです。以前、パイロット社の展示会で0.25ミリの超極小ボールをガラスの試験管に入れた物を見せてもらったのですが、ちょっと振るだけで試験管の中で霧の様に飛び散ってしまう!これはもう金属の球体と言うより粉末の様!それほど小さな金属球を書く動きに合わせてペン先でスムーズに回転する様に取り付ける。凄い精密な技術です。パイロット社が三菱鉛筆社の0.18ミリに対抗してさらなる極小化を行うかは不明ですが(もう今までの技術の延長では無理なんじゃないかとの声も有る)、技術力を誇示するシンボルとして激細世界一の覇権争いは今後も続く可能性があります。

しかし、ちょっと考えると、ものには限度ってものが有ります。いくら技術的に可能でも使うのが人間で、しかも紙に書く道具ともなれば、どこかでやめておかないといけません。最近、家電業界では次世代DVDの規格を巡って(今世代のDVDも持ってないのに・・・もう次世代なんて)、各社がブルーレイ派とHD DVD派に分かれて争っている様です。この覇権争いに敗れると、今までの開発努力や費用が水の泡になりかねないと各陣営必死になっていますが、お互いがこのまま譲り合わない状況が続けば、次世代DVDそのものの普及に大きな悪影響が出ると言われています。消費者を無視した覇権争いになりつつあるのでしょう。まあ、ボールペンの激細競争にはそもそも規格など関係ありませんので、各社やれるところまでやってもらった方が、消費者にとっても面白い商品が生まれるかもしれません。

ただ、ボールの直径を競い合うだけの競争では意味がありません。くれぐれも「肉眼では判別できない世界一の超激細ボールペン!遂に登場!! (注)必ず付属のルーペを覗きながら筆記してください(笑)」などとならない様にお願いします。皆さんは、激細ボールペンについてどう思いますか?


2004年11月30日  藤井稔也




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