コラム 近江八幡の左義長祭り 2008年 


08年仲屋町の山車 日牟礼八幡宮前の人ごみ

08年3月15日、16日とスミ利の地元、近江八幡では左義長(さぎちょう)祭りが盛大に奉納されました。 左義長祭りというお祭りは近江八幡だけでなく全国に何ヶ所かある様ですが、近江八幡の左義長祭りは勇壮な!?ケンカ祭りとして全国的に有名です。穀物や乾物などの食品を用いてその年の干支を題材に作られる見事な山車飾りを含め、絶好のシャッターチャンスと言うことで全国からカメラマンが集まります。 古くから近江商人の信仰を集める日牟礼八幡宮(正しくは日牟禮)に近隣13の町や区が何ヶ月もかけて製作した左義長の山車を奉納します。

初日は各町の山車が宮入後、山車飾りのコンクール審査が行われ、その後、山車が「チョウヤレ チョウヤレ」の掛け声と共に旧市街を練り歩く渡御(とぎょ)が行われます。夕方、各町の山車が再び八幡宮前に戻ると山車コンクールの審査発表が行われます。二日目は自由げい歩で各山車が通行止め区間を自由に移動し、山車と山車をぶつけ合うケンカが夕方まで行われ、夜には山車に火をつける奉火(ほうか)が行われ、お祭りはクライマックスを迎えます。 今年の左義長祭りは2日間とも最高のお天気!観光客も非常に多かったですね。上の写真を見ていただくと分かる通り、八幡宮前の馬場は正に「人の海」状態!! 実はこのところ左義長の時期は雨降りや、季節はずれの雪が舞う年も!八幡市民は左義長祭りが終わったらクルマのタイヤを夏用に換える人が多いです(笑)。  

仲屋町の山車飾り 仲屋町の左義長山車飾り
これがうちの町、仲屋町(すわいちょう)の山車。 08年商店街連盟会長賞受賞(5位)!

上の写真は、スミ利がある仲屋町(すわいちょう)の山車!山車飾りは1月頃から構想を練り始め、町内外の有志が毎晩遅くまで集まって製作。お祭りの前日深夜まで細かな手直しや松明への取り付け作業が行われた力作です! 仲屋町は山車コンクールで過去に何度か優勝もしたことがあり、入賞(5位以内)は結構、常連!?の実力派です(笑)。 山車飾りは虫(その年の干支の動物)と台(バックの飾り)で構成されており、今年の仲屋町は虫が3匹のねずみで、台が宝船です。 宝船の帆はピンクの部分がサクラエビ、黄色い部分が錦糸卵、その他、船の各所には一味唐辛子や海苔、青海苔、芋がら、豆、ヤマクラゲなどなどの食品でできています。因みに船の一番下の波は何と!大量の茶そばでできています!茹でて軟らかくしてからカタチを整えて接着しています。山車飾りは主に青年部で製作しますが、町内の人が総出で分担して作る松明や松明飾り、担ぎ棒などもこれまた手間入りです!松明は材料確保などを入れると昨年中から既に準備が始まっている様です。流石!

仲屋町以外の各町の山車飾りをちょっとご紹介しましょう(子供の左義町は省略)。

08年の優勝山車飾り、為心町 08年の準優勝、宮内町
左が今年の優勝の山車、為心町さん。右が準優勝の宮内町さん。どちらも毎年優勝候補の町です。     

08年の左義長山車飾り 08年の左義長山車飾り  

08年の左義長山車飾り     08年の左義長山車飾り

08年の左義長山車飾り 08年の左義長山車飾り

08年の左義長山車飾り 08年の左義長山車飾り

08年の左義長山車飾り 08年の左義長山車飾り


いや、どこの町もみんな素晴らしい出来栄え。ネズミの毛などは麻などを材料にしているところが多いですが、山車飾りは殆どの部分が食べ物でできているんですよ! 因みに我が仲屋町(すわいちょう)の今年の山車飾りは制作費約20万円超(汗)。あくまで山車飾りだけの金額ですよ!他に松明の部分やら松明飾りやら、運営費をあわせると・・・(恐)。これらを二日間で惜しげもなく燃やしてしまうお祭りです。おっと!因みに担ぎ棒だけは毎年燃やさず翌年以降も利用します。 因みに左義長の重量ですがだいたい小型の自動車と同じくらいはあるそうです(汗)。実際の重量もそうですが、背の高い松明にさらに赤紙や松明飾りを搭載、前傾して取り付けられた山車飾りの影響・・・担ぐ時の体感重量は相当なものがあります。担ぎ棒自体も結構な重さがありますしね。毎年松明を作ってくださる町内の方々が工夫を凝らして軽量化に勤めてくださってますが、それでも重いもんは重い!(笑) 

仲屋町の左義長 左義長のケンカ

2日目はいよいよケンカが行われます。非常に危険!(笑) けが人必至。後で気がつくと体のあちこちに覚えの無いアザや擦り傷がある・・・なんてのは当たり前ですね(汗)。挟まれる、落ちる、引きずられる・・・色々あります(笑)。今年は幸いにも救急車のサイレンが一度も無かったと思いますので何よりです(笑)。ケンカの時は観光客の皆さんやカメラマンさんも十分注意していただきたいです。突然倒れてきたり、突進してきたり・・・巨大な山車が予測のつかない動きをしますので本当に危険です。 ケンカはどこの町と当たらなければならないと言う決まりは無く、各町の総神役さん同士が話を決めて二つの町が一対一で行います。勝敗に特に意味も有りません。力を尽くして戦った満足感だけでしょうか!?仲屋町にも次から次に「次はうちの町と当たってもらえませんか?」と打診が。弱いからカモられてるのか!? いやいや今年の仲屋町はなかなか強かったですよ!

元々、昔の左義町は2日目も旧市内をガンガン歩き回り、出会いがしらにぶつかった町とその場でケンカをはじめていたそうです。私も子供の頃の記憶では街中の信号機の有る交差点のど真ん中でケンカしていたのを覚えています。その頃は2日目も旧市内を左義長が動き回っており、他町の山車と出会わないとケンカにならなかったので、今よりも1日でこなすケンカの数はずっと少なかったのでは?と思います(定かではありませんが)。今は、公認の!?ケンカ会場(笑)に各町が一斉に集合して相手を探しますので、観光客も山車を求めて市内を探し回る必要が無く効率的かも知れませんね。 ケンカの起こりは多分、本当の喧嘩だったんでしょうね(笑)、「どけ!」「そっちがどけ!」「おっやるのか?」みたいな。 ただ、今は担ぎ手の減少や、家屋破損時の補償問題、観光客の安全なども考慮して、神社前の馬場と一部の区域に限ってケンカが認められる様になっています。昔と違って、通行止めが困難になったのも要因の一つかも知れません(祭りの為に歩行者天国にするには多くの市民の許可が必要らしい)。

ケンカは向かい合った2基の山車が正面から一気にぶつかり合って、そこからはとにかく大人数で山車を押しまくる訳です。山車と山車の相撲みたいな感じです。最初はまっすぐでも、山車が絡まりあってすぐに訳の分からない状態に・・・。上に乗ったリーダーみたいな人たちが(別に役がはっきり決まっている訳ではないらしい)、状況を見て笛やメガホンで指示するんですが、あまりにももみくちゃ状態なんで、正直どんな指示を出されてもとにかく力任せに押すか引くしか出来ないわけですよ(笑)。まあ、あまりにも激しい押し合いの為、はっきりした勝敗がつくことは稀です。最後はなんとなく「今回はウチ勝ったんちゃうか?」とか「これはちょっと押されてたな」とかでお互い納得することが多いですね(笑)。 仲屋町のケンカの写真が無いのは、私がカメラマンでは無く担ぎ手だからです(笑)。必死。一回のケンカが終わると喉がカラカラ、さっき飲んだお酒もすっかり覚めて・・・あまりにも激しい運動量なので毎回、日本酒とかビールでパワー補給!?(笑)。初日の渡御と言い、このクソ重い左義長を担ぐのはお酒でも飲まないと体もメンタルも持たないです(笑)。みんな今日一日でどれだけお酒飲むのでしょ?自分もはっきり覚えてません(汗)1升くらい?  

ケンカに向けて強化! 折れた担ぎ棒

上の写真、左は2日目の午前中、ケンカに向けて山車の担ぎ棒がバトルモードに強化されます(笑)。一番後ろの横棒が上に一本追加され、左義長は正に「戦車」と化すわけですね(怖)。 で、右の写真が何回目かのケンカの後。近年まれに見る激戦の末、仲屋町の担ぎ棒、しかも一番太くて丈夫なはずの縦棒が「バキつ!」と音を立てて完全に折れてしまいました!この後も他町とのケンカに参戦する為、一時休戦して折れた担ぎ棒を取り替える修理が黙々と・・・。町内のおじさんたちは独特の縄の結び方やら松明の作り方、担ぎ棒の組み方などなど、熟知してますねー!活き活きしてます。みんなちょっとかっこ良くなります(笑)。

夜の左義長 奉火

で、ケンカの後、一旦各町内の宿に引き上げた左義長が奉火の為、夜また神社の前に集まってきます。大鳥居をくぐると後は左義長に火をつけることになるので、なごり惜しんで鳥居の前で左義長をひたすらぐるぐると回し続けます。実はこれが担いでる者にはかなりキツイ(笑)。「マッセマッセ」の掛け声が続き、いつ終わるのか分からない感じですがこの時間帯、体力面と共にメンタル面が著しく消耗されます(笑)。個人的に左義長最大の難所! そして、とうとう奉火!今年の仲屋町はくじ引きの結果、奉火順番が13町中7番目でまずまずのベストポイント!早すぎず、遅すぎず(笑)。この順番を引き当てた人はお手柄でしょう(笑)。 左義長は全部で13基(それプラス町によっては子供の左義長もある)あるので、一番最後の13番目に奉火順番が当たった町が帰る頃には日付が変わってしまうことも・・・正直、これはかなりキツイです。 奉火の頃には頭の片隅に「そう言えば明日も普通に仕事があったんだ・・・」と(泣)。

お祭りはだいたいこんな感じで終わりです。翌日以降も後始末やら何やらで、役が当たっている方はもうしばらく大変な状況が続きますが、それでもまずは無事に今年の左義長が奉納できたことに一安心ではないでしょうか?皆様も興味が有れば(笑)来年は近江八幡に見にこられてはいかがでしょうか? 

2008年3月25日  藤井稔也



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